- まぼろしの市街戦
- 1967年(イタリア・フランス)
- ◎監督 フィリップ・ド・ブロカ
- ◎出演 アラン・ベイツ ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド他
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- ※文章は、映画内容が一部ネタバレです
フィリップ・ド・ブロカの傑作、名作です。フリークスの方々がかなりでています。この映画を知ってる人はいませんか?観たという話を滅多と聞きません。見た人は生涯忘れられない映画になると思いますのでご注目。ブリキの太鼓のようなゴシック系ではないのですが、映像色はゴダール風、現代の映画の雰囲気的にはジャン=ピエール・ジュネ風かなぁ、う〜ん。
話は外界の人たちを避けて来た人々の街が(精神病患者が集った街)、傍若無人に正当ぶった馬鹿な軍隊に侵略されようとしていて、最初はおかまいなしの彼らも結果的に皆で戦うんですが、そこに問題が起きて、、、てな感じです。バレリーナのかっこうしたジュヌヴィエーヴ・ビジョルドの美しいこと、スタイルが良いわけではないのですが、悲しいほど美しい、、、一見の価値はありますよ。
普通だと思っていた人間の狂気と、普通でないと思われている人達の純粋さをアナタはどう見るのでしょうか?この映画のテーマにもなっていますが、事実を全て知ってしまうより、狂っている方が幸せってこともあるという事実に呆然としてしまうんですよね。
まずは見るべきですがレンタルしてる所残ってるのかな。(先日私はDVDを入手しました!)。遙か昔映画館で見たときは「幻の市街戦」のタイトルは漢字のように思ってたのですが、なんとひらがなだったのですね。そしてモノクロームだったと思い込んでいた私、思い出って色あせるのね。
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蜘蛛女のキス
- KISS OF THE SPIDER WOMAN
上映時間119 分 1985年ブラジル/アメリカ
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監督:ヘクトール・バベンコ
出演:ウィリアム・ハート ラウル・ジュリア ソニア・ブラガ ホセ・リュウゴイ
ヌーノ・レアル・マイア デニス・デュモント
- 他製作: デヴィッド・ワイズマン
原作: マヌエル・プイグ
脚本: レナード・シュレイダー
撮影: ロドルフォ・サヴチェス
音楽: ジョン・ネシュリング
「蜘蛛女」ではありませんので誤解のないように。色々映画を見てきた中で一番好きです、生涯変わらないでしょう。ビデオでは、すでに20回以上観てしまいまして。原作が先に売れた作品で、日本では何度も舞台化されていますが、映画の方は展開の面で進んでいるというか、ストーリーの解釈自体が異なっていると思います(舞台もいいですよ)。この映画は著作権問題があるのか、DVDを発売しているのでしょうか?見たことがありません。
同じ牢屋に入ったゲイと政治犯の話なんですが、、、ともかく牢屋というどうにもならない状況がわたし好きなんです。私の大好きな1場所ものですね。
南米のとある刑務所で同じ監房に入れられている対照的な二人の男、体制に反旗を翻し運動した結果捕まったバレンティンと、未成年少年へのわいせつ罪で捕まった、ホモセクシャルのモリーナ。最初はモリーナというか、ゲイそのものを嫌うバレンティンなのですが、モリーナは構わず自分の自作の映画の話を話し始めます。
それにつれてバレンティンは、自分の自由への解放を潜在的に願うためか、元の恋人を幻想上の美女に見立てたかのような夢を見始めます。やがて一夜だけ二人は絆を深めるのですが、相手を思いやって 与えるというのは、与える方も与えられる方も意味のある一夜ですね。
この後バレンティンは自分は保釈されずに国に秘密裏に殺されると感じ、自分の一つの願いを、保釈されるモリーナに託すのですが…。あ〜〜思い出しても放心してしまいます。
この映画には「バレンティンの夢」と「モリーナの映画」のシーンが盛り込まれ、3つの世界観が唐突に盛り込まれます、これが終幕に近ずくにつれて3人の俳優の感情にリンクしていくんですが、めちゃくちゃ絶妙です!
引き込まれ引き込まれ、気付くと涙が流れていたという放心状態で、終わっても長い間、映画館の座席に座り込んでいました。
余談ですが、ジェニファー・ロペス出演の「ザ・セル」の夢の世界観は「蜘蛛女のキス」の「バレンティンの夢の中の蜘蛛女」のシーンに影響されているのでは?と考えてしまいましたが、どうでしょう?この映画はこの後の監督さん達にかなり影響があったのではないかと思うのですが。
ホモセクシャルの青年役を、バート・ランカスターが病気のために降板後抜擢されたウィリアム・ハートが。彼はこの映画でアカデミー主演男優賞をはじめカンヌなど各国の賞を総なめにし、ウィリアムは役者としても地位を確固たるモノにしたように思います。ホモセクシュアルについても随分見方を変えた作品でしたし、人が人を愛すると言うことを、しっかりと演じていらっしゃいました。私もこの映画以来、中学校から好きな役者さんです。
またバレンティン役にはラウル・ジュリアが出演、95年にくも膜下出血で急死されたときは本当に驚きましたし、落ち込みました。「アダムス・ファミリー」に出演したときも、コメディのイメージが無かったのと「蜘蛛女〜」へののめり込み方が尋常でなかった私は、ちょっとショックでしたが。彼の伏し目がちの目が好きでしたね〜。
蜘蛛女とモリーナが語る映画の中の女性歌手、そしてバレンティンの恋人をソニア・ブラガが一人三役で。この方は素晴らしいの一言、こんな妖艶で悲しげな女優さんは、なかなかおりませんぞっ。
ゲイを主役にしている映画はよく見ますし、好きな方です。ゲイものでいうと、「プリシア」「モーリス」!がすきですね「プリシラ」に関しては次回書こうかな(予定は未定)。「ブエノスアイレス」ちょっと駄目、寂しすぎるんだもんなぁ。香港でのゲイの解釈としてはおもしろい。これ出てたのアンディラウでしたっけ?
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- ダウンバイロー(Down by law)
- 1986年(フランス)
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- ◎監督 ジム・ジャームッシュ
- ◎出演 トム・ウェイツ ジョン・ルーリー ロバート・ベニーニ他
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- ※文章は、映画内容が一部ネタバレです
. わたしはジム・ジャームッシュの映画の世界観が大好きなんですが、特にこのモノクロームの「ダウンバイロー」がピカいちです。
私の好きな映画そのままの展開で、一場所に集めさせられた、犯罪者たち。牢屋モノ・限定空間、素晴らしい! 一場所モノの最高峰映画「蜘蛛女のキス」の次に好きですね。 この映画、牢屋で一緒になった全く気の合わない3人の男の話なんですが、結局三人で画策して脱獄するんですね、紆余曲折してその後は別々に人生を歩むんですけど、三人の配役の素晴らしいこと。
わたしはトムウェイツ大好きで、この人出てれば「ドラキュラ」でも何でもいいです、トムウェイツの歌聞くと中学校生活を思い出すんですよねぇ。 しかし役者としても かなりの腕ですよね。
そして今回残酷な役所ですけど、ジョンルーリーもシブイ! 映画中盤で、三人だけの親愛みたいなものを感じ始めるシーンがあるんですが、いつも反抗的なくせに「仲間は置いていけない」的な仕草を、ジョンルーリーが見せるんですよね、このシーンは本当にジーンときます。
ロバートベニーニは今や「マイビューティフルライフ」で知れた方ですが、ジムはこの役者さんが大好きみたいですね、 「ナイトオンザプラネット」にもでていますし、その頃からいい味の役者さんだなぁと、この頃から私は目をつけていました(笑 ただし「ピノキオ」は頂けませんでしたが)。 完全にネタバレですが、ラストシーンで、ジョンルーリーとトムウェイツが分かれ道で手を挙げて別れるシーンは、本当に心に残ります。
こんなに脳裏に焼き付いたラストはなかなか無くって未だに夢で見るというか。ミニシアターで見終わった後、ボーと「この三人はこの先どうなったのだろう」と、想いを巡らせた覚えがあります。
観た人にしかわかりませんが、観たら当分は「アイスクリーム♪アイスクリーム♪」と叫びながら、辺りを飛び跳ねたくなりますね(笑)。
この監督の作品は「ストレンジャー・ザン・パラダイス」で、観客と評論家に喧嘩を売ったと賛否両論の嵐だったのですが、私は一時間たってもストーリーが、あまり進まないような映画は全然嫌じゃないので、私的には面白くて良かったのですが、「ナイト・オンザ・プラネット」、「ミステリー・トレイン」までいくと、どうも昔の良さがなくなってしまいましたね。 なにか映画自体がアカデミックになりすぎたとゆうか、、本来のひたすら もの悲しさを追うという部分がなくなってしまったような。おそらくストイックじゃ無くなったんですが、昔のような作品のような悲哀のあるものが観たいなと思いますね。
DVDボックスはかなり前に発売されたモノで、今は絶版です、別のデザインで発売されていますのでご注意を。(わたしはこのDVDのデザインが気に入っているので、買っといてよかったって感じです)
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カルト映像作家として認知されることの多いピーター・グリーナウェイの代表作なんですが、どの映画もこの監督の作品のとすぐわかる映像美で、どの作品にも死体が必ず出てくる、択一した気持ち悪さの芸術家ですな。この時期に映画を乱打した後ぷっつりといなくなったが、わたしゃ、映画作りで精神的に病んでしまったのではと推測したくもなった。 この作品では、特に映像美が圧巻で、ゴルチェの衣裳デザインもさることながら、照明やセットが、役者の心理描写に伴い変化し、食欲・性欲・名誉欲の醜さを映像で表現するといったところなどはアート作品と称した方がいいかも知れない。 わたしゃこの人の作品の「数におぼれて」「ZOO」「プロスペローの本」など好きなのだが。「プロスペローの本」はじめ脚本はともかく、この監督の美術的なシチュエーションの考え方は大好き。熱狂的ファンが多い分、生理的にこの監督が嫌いっていう人にはよく会いますよね。「数におぼれて」「ZOO」も気色悪さは逸品。私の中で「ZOO」は、寺山修司作品に並びトラウマになったベスト10に入る作品だが、決して悪い映画ではない。「数におぼれて」は1〜100までの数字が何らかの形で順番に出てきます。看板であったり、台詞であったり、洋服の3個目のボタンが掛け違いであったり、熱中しますよ。パンフには答えが載ってるんですが、私はわかるまで3回見て制覇しました。 さて内容ですが、とんでもない金持ち達が集まる高級フランス料理店「ル・オランデーズ」の中で起きる、10日間の人間模様を描いていくもの。「ル・オランデーズ」の一番の客、泥棒のアルバートとその美しい妻ジョージーナ達。自分の社会的ステータスを人に認めさせたいが為にアルバートは盗んだ金で贅沢三昧し、何時も乱行を働く傍若無人ぶり。ジョージーナはそんな夫の卑しさにうんざりしながらも彼の残忍な性格を知り抜いており、恐ろしさの余り逃げだす事も出来ずにいた。しかしやがて彼女はマイケルという学者の客と恋に落ちてしまい、それを知った旦那が嫉妬のあまり怒り狂い恐ろしい悪行三昧、、、最後にジョージーナがした行動とは、、、あー恐ろしい恐ろしい。 ジョージーナを演じたヘレン・ミレンの退廃的な美しさはこの作品にぴったりで、主人が恐ろしくても、どうしても恋に落ちていく様がなんとも苦しくて、最後のラストのエンディングの悲しさに繋がります。グリーナウェイ作品ではマイケル・ナイマンの音楽が欠かせない演出効果なのだが、子供のソプラノボイスなど精神的に病みそうな音楽の数々は、圧巻の素晴らしさである。そして、驚きはティム・ロスが泥棒一味の子分役で出ているのだが、気付くと「おー」と声を上げてしまうほどの若々しさであるぞ。 |
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未来世紀ブラジル Brazil 監督:脚本:テリー・ギリアム 出演:ジョナサン・プライス/ロバート・デ・ニーロ/イアン・ホルム /キム・グレイスト/キャサリン・ヘルモンド/ボブ・ホスキンズ .......................................................... ※文章は、映画内容が一部ネタバレです 「未来世紀ブラジル BRAZIL」は、1986 年アカデミー脚本賞&美術賞にノミネートされた鬼才テリー・ギリアム監督・脚本作品。 「バロン」「12モンキーズ」も、そうなのですが、この人の映像感は、誰かの夢を覗いているようで、現実感がないのに、あるような息の詰まった感覚にさせてくれる作品が多いなぁ。 ホント、この映画が好きな方多いですよね、よく話題に上ります。多分誰にでも、この人の映画に出てくる登場人物の、冷や汗をかくような、だけど誰にも言えないんだけどってな、近しき心理描写に覚えがあるんですよね。 『 BRAZIL 』という題名から、国のブラジルに関連していると思いがちですが、これは最後に主人公が口ずさむ曲「ブラジル」の事。邦題の「未来世紀」はいらないでしょう。このタイトルを最初見たとき、まじで見る気しませんでしたモノ。日本語タイトルはせめてサブタイトルに落とすぐらいで、そろそろ日本もそのままの映画名で上映するようにして欲しいですね。 ある未来都市の情報省。管理化された社会に、嫌気がさしている或る男が巻き込まれる奇妙な事件。奇妙な映像が繰り返し出てきて、訳がわかりませんが、ストーリーも説明せよと言われても、これは難しい。説明したら非常に嘘臭いので、したくないって事もあるでしょうか。 退屈な世の中から飛び出して、夢に満ちあふれる世界に飛んでいけると信じていたのに、的な精神的残酷映画ですかね、終わったら、「ボー」って頭の中で、ずっと音がなるような。実際「ブラジル」の歌がずっと頭の中で巡ってましたし。なんだか最後のシーンは、いっとき噂に流れた、ドラエモンの悲しい最終話を思い出すのは私だけか? またビルのセットがいいですよね。チャップリンの映画のセットみたいで。あと、人がゴミゴミいる、舞台を思わせるような排他的な群衆のシュチュエーションも素晴らしい。アレ観てるとすごく精神的に抑圧される。 役者さんも、地味に選んでいるところがいいし、ロバートデニーロって主役級が脇役ってのも素晴らしいです。 「時計仕掛けのオレンジ」にも、ちょっと似ていますが、キューブリックとこの人、考え方似てるかな??精神的な暴力への訴え方がなにか似ているような気がするんですがね。 美術や衣裳や、時代考証なんかは「ブラジル」を手本にした映画がめちゃくちゃあると思いますよね。 わたし、主人公のサムが夢の中で、翼を広げている飛んでいるシーンで、必ず寝てしまうんですわ。あのあとのカブト姿のサムライ、黒沢映画へのオマージュだと本人は言ってますが、なんですけど、、、オマージュってのは「ああ、本当だ」ぐらいが適当なのに、モロそのまんまで怪獣状態で登場するので、笑けます。 ギリアムは【体制に管理されている人達が、夢に逃避することは「人間の性」】ってことを描きたかったらしいのですが、当時の映画製作会社のユニバーサルが、作り直すように何度も命じて、ラストシーンはハッピーエンドとなるバージョンも作られたんですよね。 この映画がハッピーエンドなんて、そんなコトしたら何の意味もなくなる訳ですわ、ハリウッドって怖い所だなぁ。まぁそこで「そんなものはオレの映画じゃない」とギリアムの必死の抵抗で、現在のバージョンで上映にこぎ着けたのですが。この人、制作過程にはいつも困難が待ち受けてるみたいで、「それはアナタのせい、それとも祟られてる?」って聞いてみたいなぁ。 類似で「ジョー月の島に行く」トムハンクス主演で非常に「未来世紀〜」に似てますっていうか、リメイクではないんですが、確実にオマージュにしてるんでしょうな。 |
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